貯めよう!使おう!得しよう!
ショッピング
エンターテインメント
スポーツ
トラベル
ビューティー
ライフ
2007.12.10 更新

女探偵 伴内多羅子シリーズ第3章  「歌う探偵 悩む容疑者」

悩んでる人も、そうでない人も観てほしい。
ちょっと危険で、ちょっと大胆?
しかし人間とトコトンまで付き合う人情味溢れる女探偵・伴内多羅子。
本シリーズは多羅子ならではのバイタリティーと愛のムチで、悩める人々に生きる希望と勇気を与える。果たして今回の依頼者は?
そして多羅子の活躍は!?

なが~いソファに腰掛け、各人が「自殺」の理由を再確認する。

前回もこんな書き出しをした気がするが、書く。こういう機会がないと、つい忘れがちになってしまう。
ワハハ本舗が劇団であるということを。そして、柴田理恵が女優であるということを。
新宿・シアターサンモールへは、新宿御苑前から10分ほど歩く。
ド派手な幟が夕闇に2本、ひらひらと手招きをしていた。
所狭しと飾られた花の中をくぐり抜けて客席に向かった。
客席には「踊ろうか」「踊りましょう」という歌詞を乗せた昭和テイスト溢れるメロディが絶えず流れ、ステージの端から端まである長いソファと頭上に鎮座するミラーボールが「何となく」今日の芝居の内容を想像させる。

暗転から多羅子(柴田理恵)と助手・小林君(内浦純一)のやり取りが始まった。二人の任務は、ある人物の「自殺を止める」こと。その舞台となるのは訪れる人のいない、寂れたダンスホール。ここに集まる自殺志願者は10名。但し、本当に「死にたい」と願っている人は一人だけ。集団自殺サークルを装って、その実全員で一人の自殺を止める。生きる気力を取り戻させるのだ。
序盤のやり取りは登場人物の自己紹介を兼ねていた。それぞれの人との距離の取り方や死生観が、主に歌を通じて伝えられる。そう、ここでの必須アイテムはカラオケ。全員が「最後に歌いたい歌」を1曲選び、それを歌い終えてなお、本当にこの世を去りたいか?を最終確認するのだ。

熱唱する多羅子。彼女が選んだ”最後の歌”とは?!

歌は「言葉」と「音楽」で構成されている。どんなに進んだ時代にあっても人間を構成する要素・概念に昔と大差はない。細く高く澄んだ音色で吹く進軍ラッパでは勇ましく突撃する気持ちにはなれないだろうし、記号・暗号化された世界的文学作品に涙するほどの感銘を受けることも難しいだろう。人間の五感のうち「聴覚」と「視覚」を必要とするカラオケは、なるほど人間の根本をノックする資質を備えている。

ラップ・アレンジの「人生いろいろ」を熱唱する我善導。
「楽珍トリオ」のボケとしても活躍。

かもしれないなー、などと考えている間にも舞台は進む。
それぞれが選ぶ歌は「なるほど」と思うものが並んだ。
中でも出色だったのは、精神科で処方される薬中毒のラッパーを演じる我善導の「人生いろいろ・ラップVer.」。
これは、もう最後まで聞いてみたいと思わせる出来。何しろ途中でクスリが切れたので、聞けなかったのだ。
この、“カラオケDE暴露!劇場”の効果は覿面。舞台にいる全員が自殺に至る原因を吐露し、分かち合い、人生やり直す気力を取り戻す。が、ここまでは前作までを観ていればある程度展開が読める範囲、でもある。

中央左:石井愃一    中央右:正司歌江。
スペシャルなゲストです。

本作のキモはここから。特別なゲスト達が誰の想像も軽々と飛び越える“敵役”として登場する。まずは石井愃一。TVドラマや映画でよく知る俳優だが、まさか東京ヴォードビルショーの役者で、入団当時の柴田理恵の先生をしていたなんて!年齢を感じさせないフットワークと突き抜けた下ネタで、一気に色んなものを攫っていった。
そして、<特別出演>の正司歌江。リアルタイムで「かしまし娘」を知らなくても、浪花の重鎮は十分華やか。金縁メガネで上品かつ鋭い印象だったが、元検事という設定に納得させられた。多分、舞台上の誰もが素で困っていたに違いない。
いやいや、こちら客席側は楽しませて頂いておるんですが。
多分これ以上はネタバレになってしまうので、止めておく。
でも、一つだけ。この複雑で大掛かりな仕込みは、「愛」ゆえ!である。

それと、恐らくはこの日だけのことと思うが、柴田さん。
「小島よしお」はいかがなものか?そんなの関係ない?!

(文中敬称略 担当R)

原案・演出
喰始
脚本
江頭美智留
出演
柴田理恵、白川和子、石井愃一、内浦純一、飯塚俊太郎、元氣安、
村本准也、久彌繁、我善導、浜田もり平、星川桂、光野亜希子、
正司歌江(特別出演)
Page Top